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■大切なお知らせ

 今日は記事の最後に大切なお知らせがありますので、ぜひ最後までご覧ください。

お正月休みにNumber Webを見ていたら、森保一監督とジャーナリストの飯尾篤史氏との対談記事が3回シリーズで掲載されていて、森保監督がカタールW杯における日本代表の裏側を詳しく語っていたので読んでみたのですが、

(グーグル先生に「Jをめぐる冒険」で聞いてみてください。「飯尾篤史スポーツコラム」と出るはずです」)

シリーズ3回目の「クロップさんは何を?~」という記事の4ページ目で森保さんは、

「私の役割は決断することと責任を取ること、あとはメディアの前でしゃべったり、イベントに出たりする営業ですね(笑)。分かりやすく言うと、攻撃のオープンプレーは横内(昭展)さん、守備は斉藤(俊秀)コーチ、セットプレーの攻撃は上野(優作)コーチ、守備は下田(崇)コーチが...(後略)」「僕はヘッドコーチタイプではなくてマネージャータイプなので。(中略)任せられる有能なコーチ陣ですから。なので、戦術面は全部コーチです(笑)」と、あらいざらい白状していて読んだ瞬間、声を上げて笑ってしまいました。

 私が最初に日本代表の試合を観たのが1990年で、当時の横山兼三さんから歴代の代表監督を見てきましたが、森保さんほど実像がつかめない鵺(ぬえ)みたいな方は初めてでした。

森保ジャパンの選手たちからは「森保さんはサッカーでは当たり前のこと(たぶん、戦うよーとか、球際で負けないよー、みたいなことでしょうね)しか言ってくれない」という不満の声があがる一方で、森保さんがサンフレッチェで監督をやっていた時に指導を受けた選手からは「戦術を細かく指導してくれた」という証言もあって、いったいどっちが正しいのだろうと疑問に思ったので、サンフレッチェ時代の森保さんのことを調べたことがありました。

それで分かったのは、Jリーグで3度優勝した森保サンフレッチェも、攻撃の戦術担当は横内ヘッドコーチで守備戦術は下田コーチ、フィジカル強化やコンディショニングは松本良一コーチの担当で、森保さんはサッカーそのものに関してはほとんど選手を指導していなかったということです。

つまり森保さんはサンフレッチェ時代とまったく同じことを2018年からの4年半、日本代表でもやっていたということです。

 しかし「森保さんは細かく戦術を指導してくれた」と証言するサンフレの選手の存在がナゾとして残りますが、その種明かしをするとたぶんこういうことなんじゃないでしょうか。

サンフレのクラブスタッフに白石聡さんという方がいらっしゃっるのですが、2011年までサンフレの監督を務めていたミシャことミハイロ・ペトロヴィッチ氏がミーティングで選手に指導していた内容を全部メモに記録していて、このことを知っていた森保さんがミシャの後を受けてサンフレの監督に就任する際、白石さんに「ミシャ・メモ」をすべて譲って欲しいとお願いしたそうです。

森保サンフレッチェもチーム戦術は基本的にミシャが落とし込んだものをそのまま引き継いだわけですから、森保さんが「ミシャ・メモ」を見て戦術指導をすれば、選手の方も何の違和感もないというわけです。

何しろミシャの指導内容そのまんまですから。

 しかしこういう指導法には大きな落とし穴があります。

例えるなら受験生がカンニングペーパーを試験会場に持ち込んでそれを見ながら答案を書き、難関大学の入試に合格しても、本当の意味での学力はついていないのと一緒で、「ミシャ・メモ」というカンニングペーパーと横内さんらコーチ陣のおかげでJリーグを3度優勝できたとしても、森保さんが自分の頭で考えてイチから独自のサッカー理論を構築しなければ、プロサッカー指導者として本当の意味での実力がつくことはありません。

ましてや日本代表チームの戦術はミシャ・サンフレッチェとまったく違うわけですから「ミシャ・メモ」というカンニングペーパーを見ながらの指導はまず通用しないと思った方が良いです。

こう考えると森保さんが異常なメモ好きである理由も見えてきますよね。

森保監督が代表戦のテクニカルエリアでメモしたことを試合が終わった後に横内さんらコーチ陣に見せ、答え合わせをしてもらったうえで横内さんたちと意見が一致した場合のみ、選手にそれを伝えていたと森保さん自身が明かしていますが、自分だけではサッカーの専門的なことを指導できない方なんだと思います。

 前述の飯尾篤史氏との対談記事を読んでも、サッカーの専門的な話になると森保さんは本当にプロの指導者なのかと思うくらいデタラメなんですよ。

例えばシリーズ1回目の記事「クレイジージョブ?~」の4ページ目

「森保 (ドイツ戦は)後ろでひとり余っていないと守れないという弱気な守備ではなくて、守備的になったとしても1対1で勝っていけるんだと選手たちが思ってくれていたので、私としても勇気を持った采配ができました」



 実際にピッチで起こったことはその逆。

3-2-5に可変して攻めるドイツに対し、森保ジャパンは4-4-2のブロックをつくって守ったのですが、前半ボロボロに崩されて先制点を奪われてしまったので、後半からDFを1枚増やし5バックにしてようやく守備が安定したのですが、DFの枚数を減らしたのではなく逆に増やしているのに「勇気を持った采配ができました」なんてデタラメもいいところ。

この発言からドイツ戦で後半から5バックに変えたのは森保さんのアイデアではなかったと分かります。

(当ブログ過去記事・日本代表、ドイツに歴史的な勝利!) 


シリーズ2回目の「“3バック+三笘薫~」の3ページ目

「森保 YouTube(Team Cam)で話題になってしまいましたけど(笑)。あの試合(コスタリカ戦)で思ったのは、攻撃のスピードやダイナミックさをトレーニングでもっと上げておかなければいけなかったということ」



 コスタリカ戦で日本の攻撃が上手くいかなかったのは森保監督が言うようにスピードが足りなかったのではなくポジショナルな問題。つまり日本の選手が相手の立ち位置を見てピッチ上で適切なポジションを取ることができなかったのでパスが正確につながらず、1点も取れなかった。スペインがコスタリカの守備組織を崩せたのも日本よりスピードが速かったのではなく、ポジショナルプレーの面で数段上手だったから。
 
(当ブログ過去記事・負けるべくして負けた森保ジャパン) 


同じくシリーズ第2回「“3バック+三笘薫~」の3ページ目

「森保 でも、先ほども言ったように、ターンオーバーに関しては、正解が分からないです。もちろん、2試合目まで同じメンバーで戦って3試合目に代えるやり方もある。コスタリカ戦で勝ち点3をしっかり取ってグループステージ突破を確実なものにしていれば、3試合目は総入れ替えができて、フィールドプレーヤー全員を起用してあげられたかもしれない。でも、自分たちのパワーをよりフレッシュに出していくためには、特に前線の選手は2試合目で入れ替えたほうがいいと思っていました」



 「正解が分からない」も何もコスタリカに負けたのだから失敗に決まっているし、見苦しい言いわけは不要。自分たちのパワーをフレッシュうんぬんにいたっては何を言っているのか意味不明で、どうやら森保監督はベスト8に進出することよりもグループリーグでスペインに勝つことの方が重要だったみたいですね。

コスタリカに勝っていればそこで日本の決勝トーナメント進出が決まるので、スペインとの第3戦でターンオーバーを使って、決勝トーナメント1回戦に休養十分の主力選手をぶつけることができれば、ベテラン選手が多く疲労も蓄積していたクロアチアに勝って日本がベスト8進出を決めていた可能性があったのですが、W杯が終わってもなお、大会全体を通して勝負をかけるところを間違えてしまったという自覚が無い森保監督。


シリーズの第2回「“3バック+三笘薫~」の4ページ目

「森保 疲労を考慮して、3-5-2はゲーム形式のトレーニングでマッチアップさせながら試したわけではなかったんです。頭の中で確認しただけで。(中略)3-5-2で戦うということは、スペインの4-3-3に対して全面マッチアップなんです。」


 
 どうしてスペインの4-3-3(4-1-2-3)に対して3-5-2で戦うと全面マッチアップ(たぶんミラーゲームのことを言っている)なんでしょうか?3バックはピッチの横幅をカバーできず守備時はどうしても5バックになるのでミラーゲームにはならないですよ(下図)。実際スペイン戦の映像を見ても日本が最後まで3バックで守り切ったという事実はありません。


▼(4-1-2-3)


  ▼   ▼   ▼    ▼
      △   △


        ▼
        △

      ▼   ▼
      △   △
     

 ▼      ▼      ▼
 △  △   △   △  △


△(5-3-2)


〇ミラーゲームの1例

▼(4-1-2-3)


  ▼   ▼   ▼   ▼
        △


        ▼
  △     △     △

      ▼   ▼
      △   △
     

  ▼     ▼     ▼
  △   △   △   △


△(4-2-3-1)



 このように森保さんの話を聞いていると、サッカーのシロートが知ったかぶりをして、相手に合わせてテキトーなことを言っているとしか思えないです。

この程度のサッカーの知識でドイツやスペインに良く勝てたなと今さらながら思うんですが、カタールW杯で当たった森保ジャパンの奇策も、実のところは横内コーチや斉藤コーチ、吉田麻也“プレーイング・マネージャー”を始めとする選手たちのおかげだったんだろうなと。

 森保ジャパンは、ピッチ上で起こっている現象について誰に責任があるのかがあいまいで、チーム戦術や選手の起用法について、誰のアイデアが上手くいって誰のアイデアが失敗したのか、外部から検証するのが非常に難しいという特徴があります。

 クロップ・リヴァプールのコーチングスタッフも分業制だと言われていますが、いくら分業制といっても最高責任者である監督がサッカーに関する専門知識ゼロでは正しい選択ができるはずがありません。

森保さん自身「私の役割は決断することと責任を取ること、あとはメディアの前でしゃべったり、イベントに出たりする営業ですね」とおっしゃっているのですが、営業はともかくサッカーに関する専門知識がない人が最高責任者として決断してしまうと、代表チームを間違った方向に導いてしまう可能性が高いです。

カタールW杯でせっかく苦労してドイツやスペインを破ったのに、ベスト16止まりに終わってしまったのは「画竜点睛を欠く」ものでしたが、それはサッカーの知識に欠ける森保さんがコスタリカ戦にターンオーバーを使って負けるという間違った決断をしたことが原因だったように。

 森保さんをW杯で1勝させるために、日本サッカー界が支払わなければならない犠牲が大きすぎます。

大会前の目標だったベスト8進出を逃したのもそうですし、森保さんは選手間の優劣や適材適所を見極められないので、分かりやすい過去の実績ばかりに頼ってベテラン偏重の選手起用をした結果、もう少しでカタールW杯のアジア予選で敗退するところでしたし、ELで優勝するまで鎌田選手の代表入りが遅れ、カタールW杯までにチームにフィットさせることができず、三笘・久保も含めて日本が誇るクラッキ達の実力を100%引き出すことができません。

読者の皆さんは、現地時間1月21日のレスター戦で決めた三笘選手のスーペル・ゴラッソをご覧になったでしょうか? 

三笘選手がレスターの右SBカスターニュと1対1になったとき、ブライトンの左SBエストゥピニャンがインナーラップしてカスターニュをカバリングしていたレスターの選手を引きはがしたことで、1対1に専念できるようになった三笘選手がカットインドリブルからスーペル・ゴラッソを決めたのですが、チーム戦術が選手の「個の能力」を引き出したこれ以上にない好例です。

ブライトンでは三笘選手がサイドで1対1の場面をつくると、左SBのエストゥピニャンがオーバーラップかインナーラップをして三笘選手をサポートするじゃないですか。それを見るたびに「これだよこれ! これをどうして森保ジャパンはできないんだ! ごくフツーの攻撃セオリーじゃないか!!」って、いつもモニターに向かって吠えています。

まあ「戦術=三笘」とか言って単騎ドリブルで突っ込ませるしか能のない監督さんと、プレミアで監督やってるデ・ゼルビとの日本海溝よりも深くて広い差なんですけどね。

ドイツやスペインに勝った功績を森保さんに全部持っていかれた横内さんも心中は複雑だったんじゃないでしょうか。

 昨年末に行われた森保監督の続投会見で、日本テレビのゴトウ記者から「森保監督がこれまでの4年間で積み上げてきたものと、次のW杯に向けて積み上げたいものを教えてください」と質問された回答のなかで、森保さんは「これまでやってきた“マイボールを大切する”ことが我々にとっての強み」と語っていたのですが、これもデタラメですよね。

森保さんがこの4年半やってきたことはご自身が何度も繰り返していたように、良い守備(運動量に頼ったハイプレス)からの良い攻撃(タテにタテにボールを蹴るカウンターサッカー)で、マイボールを大切にするサッカーを積み上げてきたことなんて一度も無かったじゃないですか。

カタールW杯の直後は「我々は4年間ずっと『良い守備からの良い攻撃』をブレずにやってきた」と胸を張っていたのに、大会後に日本代表の選手たちから異口同音に「カウンターサッカーだけでは先が無い。もっと強くなるためには自分たちが主導権を握るサッカーをやる必要がある」という声があがると、いつの間にか日本サッカー協会のなかで話がすり替えられていて、森保監督はこれまでの4年間マイボールを大切するサッカーを積み上げてきたが、ドイツやスペインと当たるのでやむを得ずカタールW杯の直前にカウンターサッカーに方針変更したことになっているみたいです。

続投会見でそう語った反町さんは、誰かにマインドコントロールされているんじゃないでしょうか?

 ともあれ、遅まきながら自分たちでボールを握るサッカーをやることの必要性に気づいた森保監督は「ボールを握りながらチャンスを作るところにたけているコーチを招聘できれば」と続投会見でコメントし、ポゼッション戦術の落とし込みも新コーチに丸投げする気マンマンだったので、第二期森保ジャパンがまともなサッカーをやれるかどうかは、新たに迎えられるコーチしだいになるのは必定です。

コーチの人選によってはこれまでの4年半がウソのように、素晴らしいサッカーを見せてくれる可能性はありますが、もしそうでなかった場合は推して知るべしでしょう。

 森保ジャパンが発足してから自分がこのブログで作成し続けた記事を見返すと、前からプレスがかからない、攻撃をビルドアップするときの約束事が無い、守備ブロックをつくるときにゾーンディフェンスの基礎ができていないので失点につなっていると、同じ内容の記事をこの4年半ずっと繰り返して結局カタールW杯はベスト16敗退と、徒労感いっぱいですよ。

かといって明らかに代表チームに問題が生じているわけですから指摘しないわけにもいかず、ぶっちゃけ歴代の日本代表の中で一番キツかったです。

W杯のコスタリカ戦のような、始めから上手くいかないと分かっている試合をこれからの4年間延々と見せられて、再び同じ内容の記事を繰り返し書き続けるのは絶対に無理。

正直、森保ジャパンの試合をこれから4年間見続けられる自信もありません。

三笘選手はプレミアでキレキレですし、久保選手にも成長が見られます。レアル・マドリードのカンテラにいるピピ君がフル代表で見られる日も近いかもしれません。

選手レベルで見るとこれからの4年間、日本代表は本当に楽しみでワクワクが止まらないんです。

にもかかわらず監督さんが...。

 来月でこのブログを始めて、まる18年になるのですが、良い区切りでしょう。

これからの4年間で日本サッカー界に提言しておくべきことも今月中にやり終えておきました。 

これからも日本代表がいつの日かW杯で優勝するのを願って応援を続けますが、日本代表がマトモなサッカーをやるようになるまでこのブログの更新を無期限停止といたします。

第二期森保ジャパンが良い内容のサッカーをやってくれるならブログの再開を考えないこともありませんが、3月の代表戦の翌日に記事の更新が無かった場合、まぁ、そういうことだと思ってください。

これからはクラブチームの試合でも観て、日本代表選手の活躍を追いかけることにします。

 大変不本意ではありますが、18年間このブログをご愛読、ポチッと応援してくださったすべての読者の皆様へ、深く深く感謝を申し上げます。

   国際サッカー戦略研究所所長 スパルタク拝



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■ポゼッションサッカーに対する誤解

 カタールW杯決勝トーナメント1回戦でクロアチアに敗れた直後、日本代表の選手たちが異口同音に言っていたことは、「ドイツやスペインに勝つには勝ったがカウンターサッカーだけでは先が無い、もっと上を目指すためには自分たち主導のサッカーをする必要がある」ということでした。

(当ブログ過去記事・これから日本サッカーはどのような道へ進むべきか?)  


 そうした選手たちの声を受ける形で昨年12月28日に続投会見をした森保監督も、カタールW杯で学んだこと、次のW杯に向けて上積みすべきことを報道陣から問われると、

「彼ら(強豪国)がやっているようにマイボールを大切に自陣から攻撃を組み立てる、かつカウンターも仕掛けられるというところはこれからもトライしていきたい」

「われわれがボールを握ってゲームをコントロールし、ゲームを決めることをしなければいけない」

と回答しています。

 相手チームの強弱やピッチ内の状況(絶対に勝たなければいけないのか、それとも最悪ドローでも良いのか)によって、ポゼッションサッカーとカウンターサッカーを使い分けるべきだとずっと提唱してきた当ブログとしては、森保監督のコメントに同意しますが、それに気づくのが4年半遅かったですね。

森保ジャパン発足後、最初の試合から過去記事を読み返してもらえば分かるように「三角形をつくってチームでボールをキープできない」「バックから攻撃をビルドアップするときの約束事が無い」「相手の守備ブロックを崩してゴールを奪うために選手を配置するときの決まりごとが無い」とさんざん指摘してきたのに、この4年半何の修正もなされないままカタールW杯を迎えて、5-4-1の守備ブロックをつくってカウンター狙いの格下コスタリカに負けるべくして負け、コスタリカ戦で決勝T進出を決めておいて第3戦のスペイン戦にターンオーバーを使えれば、クロアチアとの決勝T1回戦に休養十分の主力選手を投入して、もしかしたら日本代表は「ベスト8進出」というこれまで見たことの無い新しい景色を目の当たりにすることができていたかもしれません。

この4年半の間に4大リーグで活躍するプレーヤーがどんどん増え、日本人選手の個の能力は過去最高レベルに上がってきているので、もっと先見の明がある指導者が日本代表を指揮して、ポゼッションサッカーとカウンターサッカーの両方の戦術を4年半かけてチームにしっかりと落とし込むことができていたら、モロッコのように日本もベスト8以上に躍進することができていた別の世界線があったんじゃないかと思うと、悔しい気持ちがよみがえってきます。

 日本代表の実力があがってきたことで、アジア予選はもちろんW杯の本大会でもコスタリカのように日本をリスペクトし、自陣に引いて「守ってカウンター」で勝とうとしてくる国も出現しています。

こちらが好むと好まざるとにかかわらず日本にあえてボールを持たせるサッカーをやってくる相手に勝つためには、相手の守備ブロックを崩してゴールを奪うポゼッションサッカーを高いレベルでできなければなりません。

森保ジャパンはこれから自分たちでボールを握るサッカー、ポゼッションサッカーに取り組んでいくようですが、日本サッカー界には「ポゼッションサッカー」について誤解している人が多いようです。

そこで今回はポゼッションサッカーにこれから取り組む日本代表が迷走しないように、日本サッカー界にありがちな「ポゼッションサッカーに関する誤解」を一つ一つ解いていこうと思います。

 私は、人様のサッカーブログというものをほとんど見ないのですが、たまたまグーグル検索の上位に表示されたブログがFCバルセロナのポゼッションサッカーのことを取り上げていて、その内容がまるでデタラメだったので、グーグル検索の上位に表示されたということはそのブログを見てポゼッションサッカーのことを分かったつもりになっている人が多いのではないかと思ったことが、この記事を書くきっかけでした。

そこで、そのブログに書かれていたポゼッションサッカーに関する誤解を指摘していきますが、相手の宣伝になってしまうのでどのブログかは明かしません。


 誤解その1 

ポゼッションサッカーはもう時代遅れである → 間違い

世界でポゼッションサッカーの第一人者と言えば、何といってもジョゼップ・グアルディオラ監督であり、現在までの実績で彼の右に出る者はいませんが、2008-09シーズンからFCバルセロナを率いてスペインリーグ3連覇、チャンピオンズリーグ優勝2回、13-14シーズンからバイエルンを率いてドイツ・ブンデスリーガ3連覇、16-17シーズンから指導したマンチェスターシティでは、昨年までの6シーズンでイングランド・プレミアリーグ優勝4回と圧倒的な成功の記録を残しています。

ペップは、今から10年以上前のバルサ時代のサッカーをそのままシティでやっているわけではなく、現代のプレミアリーグにマッチするように、バルサやバイエルン時代にやっていた戦術を進化させてきましたが、攻守のチーム戦術はバルサ時代のものがベースとなっています。

この日本では「ポゼッションサッカー」という言葉から、チャビやイニエスタがいた時代のバルサを連想する人が多いようですが、別にペップ・バルサだけがポゼッションサッカーのチームというわけではありません。

現在のシティも基本的にポゼッションサッカーのチームです。

このブログで「ポゼッションサッカー」と言う場合、グアルディオラ監督が現在もやっている「ポジショナルプレー」に基づいたサッカーを指します。私が支持しているのもそういうサッカーです。

 「でもスペイン代表がベスト16で敗退したじゃないか」という人がいるかもしれませんが、ルイス・エンリケのラ・ロハはポゼッションサッカー一辺倒で、ポゼッションとカウンター、あるいは足元のショートパスとロングボールの使い分けができなかったことが、日本と同じベスト16敗退に終わってしまった原因だと思います。

森保ジャパンとは逆の意味で、ポゼッションとカウンターの使い分けができなかったということですね。

もう一点、20-21シーズンに左ウイングのレギュラーをつかみかけていたオヤルサバルが、ケガで長期離脱中だったこともスペイン代表にとっては痛かったと思います。

ポゼッションサッカーには、質の高いウイングが欠かせません。

バルサ時代はメッシやイニエスタ、バイエルン時代はロッベンとリベリー、シティになってからはサネやスターリング、ベルナルド・シウヴァとタイプこそ違えど、ペップのチームには常に優れたウイングがいますが、ダニ・オルモはウイングがベストポジションとは思えずフェラン・トーレスは伸び悩み、アンス・ファティもケガで出遅れとカタールW杯を戦ったスペインには優れたウイングプレーヤーが見当たりませんでした。

東京五輪の準決勝で、森保ジャパンはスペインに敗れましたが、オヤルサバルのドリブルで日本の左サイドを崩されたことがアセンシオの決勝点につながりました。カタールW杯ではオヤルサバルがいなかったことも、森保ジャパンの勝因の一つだったかもしれません。

(当ブログ過去記事・組織戦術のレベルをあげるための格好の教材

 日本代表に話を戻すと、スタッド・ランスのスピードスター伊東選手に加え、ブライトンの三笘選手が今キレキレですし、ソシエダの久保選手も含め、今この日本にポゼッションサッカーをやるために欠かせない優れたウイングプレーヤーが続々と出現してきているので、監督さんがちゃんとした戦術を落とし込めれば、日本代表で強いのはもちろん、観ていてワクワクするような良いサッカーができそうな環境が整ってきているんですよね。


 誤解その2 

ポゼッションサッカーをやる目的は、ボールを保持するためである → 間違い 

もちろん、ゲームに勝つためです。


 誤解その3 

ポゼッションサッカーの支持者は、ボール保持率が上がれば上がるほどゲームに勝つ確率が上がると思っている → 間違い

ペップが「私はパスワークのためのパスを嫌う。ティキタカのことだ。そんなものはゴミだ」とコメントしている通り、パスはあくまでもゲームに勝つための手段の一つです。

「ボール保持率が相手より少なかったのに試合に勝った!」などと今さらビックリしたように記事を書く記者がたまにいますが、サッカーの試合に勝つ確率とボール保持率の高さは必ずしも比例しません。

かつてJリーグに存在した横浜フリューゲルスの監督をしていた当時、バルサ出身のレシャックが「パスは多ければ多いほど良い」と選手たちに言ったそうですが、もしそれが本当なら私はそういう考え方を支持しません。ペップと比べてレシャックがトップチームの監督としての実績をほとんど残せなかった理由がそこらへんにありそうです。


 誤解その4 

ポゼッションサッカー支持者は攻撃重視、守備軽視で3点取られても4点取り返せば良いと思っている → 間違い

ペップほど、高度な守備戦術をチームに落とし込んできた指導者はいないでしょう。

相手のフォーメーションに応じて、自チームのフォーメーションを可変させ、組織的なハイプレスをかける戦術を最初に発明したのはおそらくペップですし、サイドから相手に攻められた時のゾーンディフェンス戦術も極めて高度。

以前ゾーンディフェンスに関する解説記事をアップしたことがありましたが、そこで提案した戦術はペップ・バルサのやり方を参考にしたものです。
 
(当ブログ過去記事・ゾーンディフェンス、その基本と応用) 

 ペップが指揮したチームが4大リーグで優勝した時、リーグ最少失点を達成できなかったのは確か18-19シーズンのシティだけ(2位リヴァプールより1点だけ多かった)だったと思いますが、攻撃サッカーで1シーズンに100ゴールあげても、守備が弱くて99失点しているようではリーグ優勝なんてできるはずがありません。

私も守備戦術をおろそかにしたことなんて一度もありませんし、相手がアルゼンチンだろうがフランスだろうが、W杯の決勝戦において3-0、4-0でボコってクリーンシートで日本代表が優勝するところが観たいと思っています。それぐらいの高い志が無ければ、W杯の決勝戦に勝つことは難しいのではないでしょうか。

「日本人にそんなことできるはずがない」という人がいるかもしれませんが、そういう生まれついての敗北主義者に用はありません。


 誤解その5 

ポゼッションサッカーのチームは、前からボールを奪いに行く守備をしない → 間違い

普段いろいろなスポーツの取材をしていて、サッカー専門ではなさそうな一般紙の記者が「カタールW杯では、前からプレスをかけるサッカーが主流で、FCバルセロナのようなポゼッションサッカーの時代はもう終わった」と書いていて、たった一文で矛盾していると分かる記事も珍しいなと思ったんですが、前述のようにバルサにしろバイエルンにしろシティにしろ、ボール保持率が高い試合ではハイプレスをかける回数が少なくなるだけで、ペップがつくるチームには前から組織的にプレスをかける戦術が標準装備されています。

なぜなら相手からボールを奪い返した瞬間が一番ゴールを奪いやすいということを昔からペップは気づいていたからで、狭いスペースでひたすらショートパスを回していたという世間のイメージとは違って、ペップ・バルサ時代も相手陣内でのハイプレスからボールを奪い、ショートカウンターからゴールを決めたケースが少なからずあります。

 というわけで、日本サッカー界にありがちな、ポゼッションサッカーに対する誤解を指摘してみましたが、この記事よってポゼッションサッカーやバルサからシティに至るまでのペップのチームに対する誤解や偏見が少しでも無くなるように願っています。



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■久保建英選手はパリ五輪に参加するべきか?

 来年7月に開催されるパリ・オリンピックのサッカー競技ですが、そのアジア予選にあたるU-23アジアカップの開催時期が変更され、今年の12月に前倒しされるかもしれないと報道されています。

フル代表が参加するアジアカップ2023の開催を来年1月に延期することをアジアサッカー連盟が検討中でどうやらその影響のようです。

 一方、昨年暮れにパリ五輪出場を目指すU-21日本代表を指揮する大岩剛監督は、レアル・ソシエダに所属する久保建英選手がパリ五輪を目指す大岩ジャパンに参加する可能性についてメディアから問われると、「可能であればの仮定の話なんですけど」と断ったうえで「われわれのグループに(久保選手が)参加できる回数が多くなれば、われわれのグループは大きくなれる」とコメントし、久保選手の参加を歓迎する意向を表明しています。

 結論から先に言うと、メキシコに敗れた東京五輪の3位決定戦後、“クライ・ベイビー”状態だった久保選手としてはパリ五輪でそのリベンジを果たしたいという気持ちが強いでしょうが、彼はクラブでもフル代表でもこれから中心選手の一人となっていくべきプレーヤーであり、久保選手はパリ五輪やそのアジア予選に出場するべきではないと考えます。

大岩監督も「もし可能であれば」と前置きしているように、久保選手をパリ五輪を目指すチームに招集するのは難しいことを理解なさっているのではないでしょうか。

 もともと出場試合が多すぎると指摘されていたスペイン代表&FCバルセロナのペドリが東京五輪を終えてクラブに戻ってきた後、オーバーワークのせいでコンディションが最悪の状態となり、バルサもしばらくペドリに休養を与えなければなりませんでした。

久保選手の将来のことを考えれば、クラブやフル代表に加え、現時点ではそれほど競技レベルが高くないと予想される五輪やそのアジア予選でもプレーさせて疲弊させるようなことは避けるべきですし、パリ五輪もその予選にあたるU-23アジアカップも代表チーム側に選手の拘束権はないはずで、にもかかわらずクラブ側が久保選手に対して「どうぞどうぞ、パリ五輪でもその予選でも自由に行ってらっしゃい」と許可を出してくれるということは、クラブ側が久保選手を重要な戦力とはみなしていないということなので、久保選手はむしろパリ五輪の参加をクラブから拒否されるぐらいのプレーヤーにこれから成長していかなければなりません。

今年から来年にかけてのスケジュールを見てみますと、今年12月に開催が前倒しになるかもしれないU-23アジアカップの直前にフル代表は2026年W杯アジア2次予選2試合を戦いますし、U-23アジアカップの次の月、つまり来年1月には日本の5度目の優勝がかかったアジアカップ2023を開催することが検討されていますので、久保選手はフル代表の一員としてより重要性の高い2026年W杯アジア2次予選とアジアカップ2023を戦うスカッドに参加するべきです。

 このことは「オーバーエイジ」に関しても同様で、東京五輪は自国開催だったのでホスト国として大会を盛り上げる責任もあり、フル代表の吉田キャプテンにくわえ遠藤航・酒井宏樹両選手という「史上最強」のオーバーエイジが招集され、東京五輪を戦った森保ジャパンはフル代表に非常に近いチームでした。

しかし東京五輪は自国開催という特例中の特例であり、やはり海外でプレーするフル代表の選手をパリ五輪にオーバーエイジとして招集することも避けるべきです。

(そうした意味で、フル代表に近かった森保ジャパンが銀メダルさえ取れなかったのは痛かったですね)

前述のように、パリ五輪はクラブ側が所属する選手の参加を拒否できるはずですし、やはりオーバーワークやケガを防ぐために、たとえクラブ側が出場にOKを出したとしても参加は控えるべきですし、クラブ側がすんなりとOKを出してくれるなら、それはそれで問題があるというのは久保選手と同様です。

 もしかしたら開催国のフランスがフル代表の選手を何人か参加させて金メダルを狙ってくるかもしれませんし、南米諸国が五輪に熱心なのもいつものことですが、大会全体の競技レベルはW杯やUEFAチャンピオンズリーグには及ばないでしょう。

ドイツ人がW杯が大好きなのは、第二次世界大戦に敗北して国土が荒廃、西ドイツと東ドイツに一つの国が分割されて国民が悲しみに打ちひしがれていたのを、1954年にスイスで行われたW杯で当時の西ドイツ代表が初優勝を成し遂げ、国民に歓喜と希望をもたらしたからだと言われています。

これと似たような現象がこの日本でもありました。

同じように第二次世界大戦に敗れて国土が焼け野原になった日本が戦後復興を成し遂げ、国際社会に復帰した一つの象徴となったのが1964年の東京五輪でした。

1964年の東京五輪における日本人選手のメダルラッシュが国民に勇気や希望を与えたのですが、日本人に「オリンピック好き」が多いのはそのせいではないかと思います。

そうした影響もあり、五輪のサッカー競技を重要視する人がこの日本に多いのではないかと推測しますが、サッカーにおける世界最高峰の大会は競技レベルも含めて何といってもW杯ですし、欧州4大リーグクラブの主力として活躍する日本人選手が増えていますが、彼らが1シーズンにこなさなければならない試合の多さを考えるならば、五輪やそのアジア予選への参加は見合わせた方が選手一人ひとりのためになるはずですし、大岩ジャパンは2024年時点におけるU-24の国内組選手でパリ五輪を戦うべきです。

その方が、国内組の選手が国際経験を積む好機となりますし、選手の個人の成長や日本サッカー界の底上げにもつながるでしょう。


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プロフィール

スパルタク

  • Author:スパルタク
  • 1990年9月から日本代表を応援しているサポーター。

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